何度も受診しているけど、月が替わったら毎回保険証の確認している医療機関が殆どだと思います。
私が勤めているクリニックでも、毎月保険証の確認をしています。
ではなぜ毎月保険証の確認をするのでしょうか?
それは月が替わって、保険証が変わっているかもしれないから。
期限が切れた保険証は使えません。
中には期限が切れた保険証を持参して、受診しようとする人もいます。
意図的か間違ってかは分かりませんが、期限が切れた保険証を使って受診し、医療機関側がそれに気づかなかった場合、医療機関が大損をします。
例えば保険割合が3割の方が医療機関を受診した場合、3割分は窓口で支払いをしますが、残りの7割は保険組合や国保連合会に請求されます。
期限が切れた保険証で受診された場合、3割分は回収できていますが、大部分の7割分の請求ができなくなります。
そのため、各医療機関は期限が切れた保険証で受診をしていないか確認をしているのです。
正直、私自身が医療機関に勤めるまでは、この仕組みについて詳しくわかっていませんでした。
保険証忘れたぐらいで何で受診できないの?ぐらいの感覚でした。
今でも受診時に前回から半年も経過しているのに、保険証忘れて、前回と変わっていないから受けさせろと窓口で大声を上げる方がたまにいます。
その人は本当に保険証が変わっていないかもしれないけど、中には期限が切れた保険証を持参して受診しようとする人もいます。
例えば、転職して新しい職場から保険証の支給がまだだから、古い保険証で受診しようとする人が一定数います。
当人は多分そこまで深く考えていないでやっているようなのですが、医療機関にとっては大迷惑です。
もし本人が言っていることを信用して、受理してしまった場合、数か月後に保険組合や国保連合会から連絡が来ます。
受診された〇〇さんは10月末で該当の保険証を喪失しているので、今回の請求は受理できません。と連絡が来ます。
そうなると最低でも7割分損をします。
そういった場合は本人に連絡を取ることもありますが、大抵は泣き寝入りをするしかない場合が殆どです。
3割もらえているからいいじゃんと思うかもしれません。
3割は例えなので、窓口の支払いが2割の方もいれば、1割の方もいます。
また、乳幼児医療費の助成やひとり親の助成の医療証を持参された場合は窓口での会計が無い場合も多くあります。
そうなると診療した費用が全く医療機関にお金が入らないことになります。
患者さん本人は特に罪悪感もなくやっていることかもしれませんが、医療機関にとっては大問題なのです。
ちなみに、僕が勤めている病院で、保険証を忘れたという人は結構います。1日複数人きます。
また、転職をしてまだ新しい保険証をもらっていないという人もいます。
その場合は、新しい会社に病院の受診を相談したら、仮のA4の紙の保険証のをもらえるので、相談をしてもらってから来てもらうよう説明をしています。
僕も医療従事者になる前は、仮の保険証をもらえるとは思ってもみなかったので、知っている人はかなり少ないようです。
また、私が勤めているクリニックではコピーした保険証での受付は行っていません。
これも同じ理由で、コピーした保険証を今も持っているかは分からないためです。
最近ではスマホに保険証の写真を写して、それで受診しようとする人もいます。
昔はコピーの保険証でも受け付けていた時期があったようですが、実際に期限切れの保険証で受診された方がいた為、コピーでの受診はできなくなったようです。
ごく一部のずるをする人によって、方針が変わりより厳しくなるのは良くある話です。
多くの方は期限が切れていないとは思っているのですが、それでも悪意ある人のせいで確認が必要なことを分かってもらいたいです。
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